サックス奮闘記 個人レッスン日誌ー夏編ー

SAX奮闘記ー個人レッスン日誌・夏編ー 第68日目 ~発表会!~

https://tanetan.com/JazzyNight

2002年7月13日投稿

いよいよこの日がやってきた。
ここ数週間、避けて通ってきたこの日が・・・・・・(-_-;)

発表会は夕方18時スタート。
その前になにも予定は入っていない(当然入れてない)。
何度か練習し、音だしをし、満足できたところで身支度を整え、
余裕があれば美容院なぞいって、ステージ用に髪などセットしてもらって
ついでにメイクも・・・・・・・・。

しかしこの時の私にとって、そんなことは「夢のまた夢」だった。
前日、私はクリニックを再び訪れていた。

腱鞘炎のその後

お医者さん
お医者さん
注射打ちましょう。そのほうが早く治りますよ(^_^)。
放っておいてもずっと痛いだけですから。

私
明日、サックスの発表会なんですが・・・・

お医者さん
お医者さん
ほう。じゃあ打ちますか!神経の側に打ちますのでしばらく痺れがあると思いますが、 すぐに痛みが取れて良くなりますよ。

し、痺れ??!( ̄□ ̄;)!!
でも、何もしないでこのままいるより、
何かをしてどうにかなった方が・・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;)
ヘンなところで妙にポジティヴ・シンキングな私であった。

注射は手首を内側に曲げて、その外側に打った。
うは~、こんなところに針を刺すなんて・・・Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン

たまに倒れる人もいるから、と、わざわざベッドに横にさせられた(-_-;)。
注射は結構慣れてるんだけどそんなこと言われたら余計にビビるわ。

注射を打った瞬間、手首からブチッと大きな音がした。癒着が骨から離れた音らしい。
そこが離れないままだと、骨折を起こすことになるとか。
そう、腱鞘炎は放っておくと骨折になる可能性もあるのだ。怖っ!

実は注射後の手首の痺れは結構長引いて、その日は寝るまでずっと痺れていた。
よって勿論サックスの練習は不可。
痺れた腕をかばっての仕事で精神的にも肉体的にも疲れていたらしく、
翌朝目が覚めたらすでにお昼近くになっていた(^_^;)。

試しにちょっと湿布無しで手首を動かしてみるも、なんだか心もとない。
怖くて動かせない、というのもある。
これまでは包帯を巻いているからこそ、テーピングの効果もあって
勇気をだして動かせていた部分もあった。
私はしばらく悩んだ結果、結局包帯を巻き、練習もできないまま、
渋谷の発表会の会場へ向かった。

いよいよ発表会スタートっ!

渋谷駅前、スクールからは徒歩5分くらいの場所にあるレンタルスペース。
近所に音楽系の学校がたくさんあるせいか、ドラム・ピアノが据え置きされている上に
カウンターバーまである。

わが師匠はカウンターのなかですでにバーテンさんと化し、皆さんの為に
せっせとお酒を作っていた(笑)。

私
(先生があの調子なら、私の出番はまだまだだな・・・・)

実際、先生には

T先生
T先生
当日の手の様子をみて、どうするか決めましょう

と言われていた(『SAX奮闘記ー個人レッスン日誌・夏編ー 第67日目 ~腱鞘炎~』参照)。

まずは手の調子を聞いてくれて、酔いの具合と合わせて相談して決めるだろう・・・。
完璧にそう信じて、まずは呑めないお酒を飲んでホロ酔い加減になっておかねば、と、
普段最初には飲まないビールをぐびっと飲んでいた。
空きっ腹にビールはなかなか堪える。
どんどん顔が赤くなっていくのがわかるくらいだが、緊張のあまり酔えてない。

隣に座った若い子達と音楽の話で盛り上がっていると、いよいよ発表会がスタート!

「それでは、しょっぱな、誰からにしましょうか?( ̄ー ̄)ニヤリ」

MCの人がマイクでこういった。

ヽ(。_゜)ノ ヘッ? 順番決まってるんじゃないの?
教室の受付に貼ってあった、あの順番じゃないの?あの順番だから私後半だよね・・・。

不安が胸をよぎる。

その瞬間、なぜか一瞬、自分の席の対角線上にいたカウンターの中の先生と目が合った!

私
(うげっ!ま、まさか~っ!い、いや、気のせい、気のせい・・・(-_-;))

自分の心の不安を瞬時に打ち消し、私は再び周りの子たちと話を始めた。

と、そこへ誰かがツカツカと近づいてくる!

人間の眼というのは本当にすごいもので、顔は真横を向いてるのに、
正面からくる人の様子がハッキリわかっちゃったりするのだ。
いや、もしかしたら、その時のそれは映像ではなく、オーラだったのか?!

「ほら、準備して!〇〇さんっ♪」

その瞬間MCの人が私の名前をよんだ。

「じゃ、始めてもらいましょ~♪」

( ̄□ ̄;)!!( ̄□ ̄;)!!( ̄□ ̄;)!!( ̄□ ̄;)!!
はぁぁああああああああ~~っ?!

T先生
T先生
ほら、早く準備する!

近づいてきたのは勿論先生だった。しかも顔は真顔。
ジョークじゃないのね、これ・・・・・。
だ、だって、最後のほうだって・・・手の具合と相談するって・・・・。

が、そんな私のパニックに誰も気づこうとせず、私のバック演奏をつとめてくださる
先生方がおもむろにステージ上で準備を始めてしまった。

うぐぐ、周りはみんな若い子ばかり。この50数名の中で
上から数えた方が早い位大人な私がいつまでも駄々をこねて時間をとる訳にはいかない。

私
(ちっくしょ~・・・だまされたっ!先生方ニヤニヤしてるっ!)

心臓バクバク、冷や汗ダラダラ、手はガクガク。本当に手が震えていた。
腱鞘炎以前の問題である。
さっき飲んだアルコールもどこかへ吹き飛んでしまった。
吐いちゃわないかしら、私・・・・・(ーー;)。

周りの明るい声援を受けながらステージにどうにかたどり着き、準備を始める。
リードの位置なんてどーでもいい。頭真っ白で音出しすらできない。
だって、1メートル先には何十人もの顔・顔・顔!
しかも、今回の生徒のなかで、サックス科は私ともうひとりだけ。
他の人はみんなボーカルかギターの生徒なのだ(´;ω;`)ウゥゥ。

サックスなんて、TVか学生時代のブラバンでしか見た事ないって人達ばかり。
最初の演奏者である上にその珍しさも重なってか、皆が怖いぐらいに静かに
私の一挙手一投足を見つめている。

私
(お、お願いだから私を見ないでぇ~・・・無視して飲んでて下さい・・・)

ド緊張のオンステージ

T先生
T先生
大丈夫、大丈夫♪いつも通りにね!(^_-)-☆

先生の声にはっと我に返った私の口からでた言葉は、なんとも情けない言葉だった。

私
先生~っ!お願いだから一緒に吹いて~!(;>_<;)ビェェン

結局ソロの部分以外は一緒に吹かせた私であった(^0^*オッホホ。
だって一人じゃ寂しいもん!(というか、一人じゃ怖すぎ)

いつものレッスンのように先生のフォローがありながら吹けたお陰で、
どうにかソロの部分もテンパって数箇所フラジオしてしまった以外は
どうにかテンポも先走ることなく無事に終わった(;^_^A

先生方のギターにベースにグランドピアノにコンボ、おまけに我が師匠のサックスを
バックに従えての演奏。豪華すぎで有難い限りなんだけどね(^_^;)

みなさんすごい拍手をしてくれてたようだったが、そんな余韻に浸る間もなく、
逃げるようにステージから立ち去った。はぁ、疲れたぁ・・・・・・。

T先生
T先生
あ、そうだ、手、大丈夫だった?

演奏を終えた私に、今更ながら心配そうに先生が声をかけた。

・・・・・・・遅いよ・・・・・・・・・・・(ーー;)

発表会後の気持ちの変化

でも、本当のところ、ステージで吹いてる間、ちょっと気持ちよかった♪
勿論失敗もたくさんあったし、今まで先生に細かく指導された事なんて
スッカラカンに忘れて演奏してたけど(笑)、正直、とても楽しかったのだ。

昔、高校生の時代にバンドをやっていたあの頃を、演奏しながらふと思い出たりして。
みんなで練習して、ライトを浴びながらお客さんの前で演奏する。
楽器をやる醍醐味ってこれもありかと。一人で家で練習ばかりしてたってつまらないし。

今回最初に演奏した事で、迷う間もなくなんか吹っ切れた気がした。
恐らく、先生も何か考えがあって今回のだまし討ち(笑)計画を実行したのだろう。
緊張しいの私が他の人の名演奏を聞いたら逃げ出す可能性もあったかもしれないし(;^_^A

次回があるのかわからないけど、今度はもっとエンジョイしたいな。
そしてもっと<ちゃんとした演奏>ひとりでやり遂げたい。
こんな気持ちになるなんて、自分でもビックリ。
そのためには、次回はもっと練習期間ちょうだいね、先生!
たった3週間じゃだめだよん!(-_☆)キラーン

  • この記事を書いた人

たねたん

JAZZ好き元ライター。『たねたん・どっとこむ』内でのかつての人気コーナー「Jazzy Night」「サックス奮闘記」を現在こちらに鋭意移築中。Sonny Rollinsが一番大好き。最近はライブで生音浴びてないのが悩み。 ※Amazonのアソシエイトとして、当メディアは適格販売により収入を得ています

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