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三都物語ミステリーツアー『序章』
1999年12月1日(水)

とりあえずの荷物を鞄に詰め、私は駅に向かった。
今夜は母とクラシックのコンサートの約束があったが、この際ブッチぎろう。
家族がみんないなくなった今がチャンス!書き置きは家出っぽいから(笑)、
行き先が決まってから、家の留守電にメッセージを残そう。

渋谷駅から山の手線に乗った。
海を超えていくなら浜松町から羽田に向かわなくちゃ。
あ、マイレージカード忘れたっ!
そんな他愛もない理由で、私は空の旅を断念した。(アホちゃうか・・・)
そうすると、陸路の旅の出発点はもちろん東京駅。昔の同僚に会わないよう、
心持ち目線を足元に落として、足早に新幹線の切符売り場へ急ぐ。

さて、どこにいこうか?
確か、軽井沢のクリスマス・イルミネーションが綺麗だって言ってたっけ。
でも、寒そうだしなぁ・・・。
先日訪れてもう一度いきたいと思ってた尾道は?
遠いなぁ・・・・。(^-^;
一人旅といっても、誰もいない、知らない土地にいきたい訳じゃない。
私は携帯電話を取り出し、東京以外に住んでいる友達に電話をかけた。
こういう時こそ「近くの親戚より遠くの友人」。
幸い、『嵐のしまなみツアー』に同行した芦屋在住の梅子と連絡がとれた。
自宅まで来てくれれば、今夜はつきあうよ、と嬉しいことを言ってくれた。

「ねえ、梅子ぉ、新神戸までいけばいいんだよねぇ??」
「・・・・・・新大阪っ。そこからJRに乗って芦屋で降りるっ。(唖然)
着いたら電話ちょうだい。駅まで迎えにいくから。」
えっ?!芦屋って兵庫県だから新神戸じゃないの・・・・?(^-^;>"

隣の席のニンニク臭いオヤジに辟易しながら、どうにか新大阪に着く。
出張やらなにやらで数回来たことはあるが、ひとりで来るのは初めて。
JRって、どこ?何線に乗ればいいの??
一部の人にはつとに有名であるが、私は重症の方向音痴。
旅好きのくせに致命的な欠陥である。しかも絶対大丈夫、と自信があるときに、
必ず「反対方向」に向かう癖がある。いや、本人は癖とは思ってないのだけど。
いきなりこんなとこで躓くか、たねたん!?
泣きそうになりながらもいろんな人の助けを借り、やっと目の前にある
JR改札を見つける。一体どこに目つけてるねん・・・・・・・>たねたん(^-^;
しかし、この出来事は、今後起こることのただのエピローグに過ぎないのであった・・

芦屋に無事到着し、梅子の笑顔の出迎えを受ける。
ここへ来たのはもう何年前のことだろう?震災よりもずっと前のことだ。
梅子の家も、震災の被害に遭った。今はもう新しい素敵なお家で暮らしているが、
思い出の品やら家具やら、なにしろ思い出の一杯詰まった家が一瞬にして全壊しまったのだ。
そういえば、何事もなかったかのような芦屋でも、ご近所の家はまるで新興住宅街のように
新しくて綺麗な家ばかり。聞けば、やはり震災で壊れてしまって立て直したから
このあたりは新しいお家ばかりなのだそうだ。

以前来た時は、木造のいい感じの和風の素敵な豪邸が一杯あった。
梅子の家もそういうお家だった。だが、震災以降に立てた家は、どこも鉄筋コンクリの
いかにも地震に強そうな家ばかり。当然の事態ではあるが、関西地区有数の素敵なお家の
たくさんある土地柄だっただけに、とても惜しい気がする。
また、改めて震災の与えた影響を思い知った。梅子は本当に大変だったんだね・・。
あの時、何もしてあげられなくて、本当にごめんね(大反省)。
でも、そんな苦労を全くみせない明るい梅子。立派過ぎるよ・・。

当時の自分の無力さを反省しながら、梅子の家へ到着。
愛犬ゴローちゃんがお出迎え。家の形は変わったけど、規模は相変わらずね(^-^;
梅子はフラワーアレンジメントの先生をお家でやっている。
そのすばらしい素敵な作品の数々が綺麗に家中に飾られている。
ほけーっと眺めている間に梅子は着替えを済ませ、我々は三宮へ。

新大阪駅から予約した本日の宿『ホテルモントレ神戸』にチェックインを済ませ、
我々はトアロード近くのこじゃれた店BRASSERIE TOOTH TOOTHに入る。
このあたりは、東京で言えば神宮前あたりに似ているだろうか。
おしゃれな雑貨屋さんやカフェ、ブティックが大通りから一歩はいったところに点在している。
東京と唯一違う点は、どの店もすごく空いていて、待ち時間ゼロなこと。(^-^;

お料理をたらふく食べて、お酒をたくさん飲んで、くだらないことをいつまでもいつまでも語り合った。
ひとりぽっちでグラスを傾けるのは私の性に合わない。
いつでもどこでもワイワイやる、これが一番!私の気ままな旅はこうでなくっちゃ!

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